Nikon AF-S NIKKOR 35mm f/1.4GとSigma 35mm F1.4 DG HSMの比較(その4)

SIGMAのAF調整については、USB DOCKを使用することで、カメラ本体のAF微調整を使うことなく、それほど不満のないレベルに追い込むことができました。

 

では何の問題もないかというと、やはり純正の方がAF精度はよい気がします。
特にフォーカスポイントによる差に違いがある気がしています。
私の撮影スタイルは、構図に合わせてフォーカスポイントを手動で移動させています。フォーカスロックも使いますが、画面の端の方にピントを合わせる構図なのに、中央でフォーカスロックをかけてカメラを大きく動かしたりはしません。

 

私の場合はUSB DOCKで調整した後も、図のように、上のフォーカスポイントではジャスピンなのに、構図を変えて下のフォーカスポイントを使うと後ピンになることが多い気がしています。純正では、似た構図で撮ったときもフォーカスポイントの上下でAF精度に違いを感じたことはありません。

こんなことが理論的、技術的に起こり得るか分かりませんが、私の経験から感じていることを率直に書いているだけです。

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私もそれなりに調整を繰り返しましたが、さらにUSB DOCKで調整を追い込めばもっと満足いく結果が得られるのかもしれません。しかし、なんでそこまで頑張らなきゃいけないの?とも思います。
私も機械いじりとかPCが好きです。こういうメカや調整も嫌いではありません。それでも修行僧のようにひたすらUSB DOCKの調整を繰り返して極めていくというのは苦痛です。SIGMAのレンズしか持っていなければ、それ以外の道はないのであきらめもつきますが、純正であれば調整も必要ありませんし、上記のフォーカスポイントの違いによる差も気になりません。こんなに苦労してもなお多少の不安が残るなら、素直に純正を使った方が楽ですし、何より目的は満足のいく写真を撮ることですから。

サードパーティー製のレンズでAFが合う合わないという問題は、かなり根深いものではないかと想像します。
NikonCanonなどのカメラメーカーがAF関係の信号を完全には公開していないと思われ、サードパーティーのレンズメーカーはリバースエンジニアリング的な手法で信号を解析しているのでしょう。超単純な信号なら解析も簡単でしょうが、実際はそんなに単純ではなさそうですし、もしカメラメーカーが解析されにくいような工夫をしてくれば一気に困難になるでしょう。
つまりSIGMAのレンズがNikonのカメラに純正レンズと完全に同じレベルで対応できているのかは不明ということです。NikonSIGMAの技術者が全情報を持って集まって、お互いに検証し合わない限り分からないはずです。
もしかしたら完全に解析し切れていない何かがあるのかもしれません。あるいは電気信号だけでなく、レンズのメカや寸法、許容精度などについても同様の問題が隠れているのかもしれません。


サードパーティー製のレンズは、光学性能では純正レンズを凌駕するほどのレベルまで向上し、製品として十分な品質を持っていることは疑う余地はありません。それでもなお99%までは達成できる安心感を、完全に100%にすることは極めて困難であるとも言えます。

(つづく)